室石将監(むろいししょうげん)
ジャンル:民話・伝承
時代:平安
地域:福島市庄野
題材公演:室石将監
概要
室石将監にまつわる民話は、大きく分けると二種類残されている。
ひとつは室石を棲家にしていた男が幻術を使い、野干の術などで村人たちを惑わし、禍を与えていた。この男、終いには狐になってしまう。困った村人たちは朝廷に訴えたところ、出羽国羽黒山から三人の修験者がこの妖怪を討伐することになる。
修験者は山伏五百人・村人五百人とともに、四日三晩祈祷を行い室石将監が改心する。その歓喜の声が巨石を割ったというもの。
もうひとつは、「佐原村根元記」にあるもの。室石に屋敷を持つ正玄院という男が、出羽国羽黒山へ参ったが、天狗に捕らわれて行方知れずになってしまう。三十年過ぎ、ひょっこり村に帰って来たが、すでに自分の家もなく、室石の側に倒れてしまう。村人が彼に近づいて見ると、その顔は狐のようで、手足は人間。「化け物だ!」と騒ぐ村人。正玄は弁解するが、村人たちはそれを信じず、正玄は腹を立てて姿を消してしまった。
その後、室石の前を通ると、人々は道に迷うようになり、往来ができなくなってしまう。名主・菊地三郎左衛門がお上に訴え、本寺良僧院によって正玄は神として祀られることになる。
なお、室石前の解説文は最初の民話を基に書かれている。
995年この地に室石将監と言う妖怪が住んでおり、 狐に化身しては村人に禍害を与えていました。出羽国の羽黒山修験者3人は、朝廷の命を受けて恐怖の日々を送っている 村人の難を救うために、500人の山伏を率いて、この地に遠征して来、 苦難の末、狐を捕えました。村人は、はじめ修験者、山伏1000人余の人たちは、 妖怪将監の降伏の祈祷を4日3晩続け、遂に将監は真人間に立ち戻る ことを祈り続ける人たちに誓いました。1000人余の人たちは歓喜絶叫し、この歓びの響きがこだまし、 巨石が割れたと語り伝えられております。ここに稲荷宮を祀り、また天水分神を併せて祀り、 養蚕、五穀豊穣、家内安全、身体健全の護り神として崇敬されました。毎年4月25日には、庄野の人たちによって祭礼が続けられております。
室石前・解説文より
劇団120◯ENの作品では?
第33回公演「室石将監」の題材。
地域に残る室石将監の2つの民話を基に創作。本作では、「将監」を近衛府の役職とした。
室石将監は、右近衛大将・藤原師尹の随身として福島に訪れ、馬を逃してしまったためにこの地に残ることになる。村の人々によって顔は狐、体は人間の妖怪に仕立て上げられてしまう。
関連場所へのアクセス
■室石
住所:〒960-2155 福島県福島市上名倉大石前 地内(あづま総合運動公園内)
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