かの有名な忠臣蔵において、金を持ち出し 家族を置き藩から逃げ出したとされる、 「不忠者」大野九郎兵衛が主人公。
大野は、福島市庭坂の李平(すももだいら)の 福島藩士、作五郎の家に隠れ潜んでいた。
ある日、彼の元に、 「主君の仇、吉良が討ち取られた」との報せが届く。
大野は歓喜し、祝の酒宴が開かれることに。
「口惜しい、口惜しい」。
「なんじゃ、今度は人の魂がのったか! 誰じゃ、そちは!」
「吉良上野介。 主ら赤穂の藩士に寝首かかれた者よ」
討たれた男と、討つ機会を逃した男。
大野は、吉良の願いを聞き届けることになり…
本作のルーツ―福島市と忠臣蔵
福島市庭坂にあった宿場町李平に、忠臣蔵で不忠者と揶揄される大野九郎兵衛ら赤穂浪士第二軍が潜伏していたという伝説が残る。
大石内蔵助ら第一軍の討ち入りが失敗した場合、吉良は息子が治める米沢藩に逃げ込む可能性が高かった。大野らは、そこに逃げ込まれる前に、米沢街道にて吉良を討つという作戦を立てていたという。大石らの討ち入りが成功したことを聞くと、その場で切腹したと伝えられ、李平には小石祠がある。
また、吉良の妻の梅嶺院(ばいれいいん)は、米沢と福島を往復する際の休息所として黒岩虚空蔵尊を好んで利用し、彼女が菩薩を寄進して建てた観音堂も残っている。