【殿がいない! ブログ】本田真也 – 奥山清左衛門役

初めまして
9月1日付で入団致しました本田と申します。
団員として舞台に立つこと、廣瀬座でお芝居をすることが初めてなので、緊張を隠せません。

この間、場当たりを行いましたが今まで数えきれないほど役者が舞台に立ち、その何倍もの数のお客さん達が座席で鑑賞をしていたことを思うと廣瀬座には歴史だけでなく、人々の汗と表現のための思いが染み入っているのだなと感じました。

自分の話はこれくらいにしておいて今回のお芝居についてお話しさせて頂きます。

私の演じる奥山清左衛門(『きよざえもん』と読みます)はモデルとなる実在の人物がいます。故人を演じる場合、その人に関連する資料があるとその人の人となりがみてとれてお芝居に活きやすくなると考えています。

たとえば、織田信長を演じるとなった時に、伝記や文献を読み漁り、時には他に演じられた役者さんのお芝居を参考にして自分の中に落とし込んでいって演じることができます。

しかし、この奥山には詳細な資料はほとんど残されておりません。これでは奥山の性格・嗜好を読み取ることは難しいです。


そこで、奥山の置かれている状況を考えてみました。

今回の舞台の見所は『江戸にいながら陸奥下村を治めなくてはいけなかった田沼家がその役目を終えることになったので、記念に治めていた下村を一目見たいと殿様がやってくる』という文学チックな点だと思います。

奥山は家老という役職にいて、下村にいます。

殿である田沼意正は、下村にいません。

これはナンバー2が実質的に全権を握っている状態です。

部下には傍若無人に振る舞い、何かあったら殿の名前を出せばいい。奥山という男は権力に溺れた嫌な男だったのではないかと思います。

現実にいたら、自分の上司だったら、血反吐が出るほど嫌ですが物語、お芝居においては、こういう嫌な、自分勝手な人が物語を動かしていくものだと思います。


もし、皆様が今回の舞台をご覧になって『良い話だった』と思ってくださったときは、恐らく『嫌な奥山』が良いスパイスとして効いたと感じ私は一人知れず喜びます。

そんな奥山を好きになるか、嫌いになるかは、ご覧になった皆様の心次第ですので、是非一度廣瀬座に足をお運びになって、観劇されることを切に願います。

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